絵画保存修復家・岩井希久子さんによる特別講義

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3年生「絵画Ⅱ(構成Ⅱ)」授業内で保存修復家・岩井希久子さんをお招きし、絵画保存修復についての特別講義を行いました。

岩井さんは、西洋、東洋、古典、近代、現代美術、ディズニーアニメのセル画など様々な絵画作品を保存修復されていますが、どのお話も経験に基づくたいへん貴重なものでした。

私たちにも分かりやすい言葉で、保存修復の技法、現状などを丁寧に講義していただきました。

その中でも「保存修復家は黒子に徹しなければならない」というお言葉から、保存修復家としての謙虚な姿勢が伺え、学生たちは大変に刺激をあたえられました。

 

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美術作家のみならず、絵画修復家としての道を志す方もいるかと思いますが、双方に大変勉強になる素敵な特別講義でした。ありがとうございました。

 

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講義終了後も学生からの質問に丁寧にお答えいただきました。

 

 

岩井希久子 Kikuko IWAI

1955年8月15日熊本市生まれ。(有)IWAI ART保存修復研究所 代表取締役。父親が熊本県立美術館建設準備室長をしていた関係で、絵画修復の仕事と出会う。80年に渡英し、ロンドンのナショナル・マリタイム・ミュージ アムで修復技術を学び、84年に帰国。以後、フリーランスとして、モネ、ゴッホ、ピカソといった名画の修復を手けるほか、現代アート、セル画など多様な表 現の修復にも挑む。また、国際巡回展などで出品作のコンディションチェックの仕事も数多く担当。89年、有限会社岩井絵画修復(現・有限会社IWAI ART保存修復研究所)を設立。93年、小山敬三美術振興財団海外研修を受賞し渡米。「絵にやさしい修復」を理念に、98年からロンドンのテート・ギャラ リー(現テート)に研究を持ち込み、絵画をエイジングさせない「脱酸素密閉」という作品保存方法を開発。このほか日本の職人の技術を生かした修復を行うな ど、独自の修復技術をつねに探求し続けている。2012年度佐倉市民栄誉賞受賞。主なテレビ出演として、『NHK プロフェッショナル 仕事の流儀「母の覚悟で、ピカソに挑む」(2010年)』、『NHK BSプレミアム 旅のチカラ「幻の絹絵よ!よみがえれ 絵画修復家 岩井希久子 ベトナム・ハノイ」(2011年)』。主な著書として、『モネ、ゴッホ,ピカソも治療した絵のお医者さん 修復家・岩井希久子の仕事』(美術出版社/2013年)、『ソリストの思考術 修復家・岩井希久子の生きる力』(六耀社/2014年)。現在、修復セン ター設立を計画中。