現代美術の作家たちと共同しながら、大学では学べない制作思考と技術を学ぶ《夜の学校》ワークショップ、京都合宿編の続きです。
ギャラリーでのインターン体験の翌日から、いよいよ作家との共同ワークショップの始まりです。
最初の2日間は、京都でにわかに注目を浴びている、”KYOTO ART HOSTEL kumagusuku(クマグスク)” の運営者であり彫刻家の矢津吉隆さんとの共同制作。共同アトリエの凸倉庫(トツそうこ)をお借りし、作家の池田精堂さんにテクニカルサポートをお願いしました。京都造形芸術大学ウルトラファクトリーの学生さんたちも参加してくれました。
クマグスクのコンセプトからスピンアウトした、アート体験の新たな装置を作るという趣旨のもと、学生たちは作家と協議し、慣れない環境や機材と格闘しながら作品を制作しました。
このワークショップで重要なポイントは、作品のクオリティに大きく作用する「精度を出す」作業にどこまでこだわれるかです。木材にケガキを入れ、切削し、組み立てる。簡単なようですが、そこでは0.5mmの誤差も許さない集中力と段取力、そして忍耐力が必要となります。1日6時間、2日で12時間のワークショップは、肉体的にも精神的にもかなりハードなものとなりました。
次の2日間は、映像作家の高橋耕平さんと、神戸、京都の街を路上観察学的に歩くフィールドワーク。高橋さんは、様々な地域に生きる人々をドキュメント形式の映像作品として発表されています。今回は、高橋さんが兵庫県立近代美術館で発表される作品の制作プロセスを追体験するワークショップを行いました。
2日間で20km以上歩きながら普段意識しない地面をひたすら見つめ、路上に落ちているモノを通して街の記憶の断片やカルチエ(文化)を発見してゆきます。街歩きのあとは全員で拾ったモノについて発表し、観察者として何に注目したか、そのモノと街、あるいは自分とのどのような関係性が浮かび上がるかを考えました。
ところで滞在先は、矢津さんのクマグスクと、”雑誌に泊まる”というコンセプトも新しいゲストハウス”Editrial Haus MAGASINN”。両方ともめちゃくちゃオシャレなゲストハウスでした。
ほか、造形大の学生さんによるおもてなしを受けたり、私の京都での仲間達と交流したり、夜の伏見稲荷神社をナイトハイクしたり、楽しいこともたくさんありました。
(森山貴之/共通科目)