【修復保存3年】紙修復:水洗処置

修復保存コースの3年生は作品の修復を行っています。
紙作品修復の授業では、作品(文書)の水洗処置を行いました。

紙作品なのに水に浸していいの?と不安になりますが、浸せるのです(水厳禁の作品も多々あります)!
紙作品修復において、水洗はとても重要な処置の一つです。

水洗によって、水溶性の劣化要因物質(酸性物質や、変色を引き起こす物質)を除去するだけでなく、
紙に付着した不純物や残留した粘着物質などを取り除きます。
この他にも、紙に柔軟性をもたせ、繊維間の結合の強度を取り戻すといった効果があります。
(もちろん、事前に作品が水洗可能なのか、テストをしてますよ!)

 

水洗で使用する水は、薬品を加えアルカリ性にした水です。
これで汚れが落としやすくなります。

作品をゆっくり入れて、10分〜15分ほど浸したらやさしくそっと引き上げます。

付着物を除去しましょう。

写真ではかえって分かりづらいかもしれませんが、一回の水洗でこんなに汚れが!

この工程を2回ほど行うと、汚れが落ちて作品がとてもきれいになります。
 

物理的に擦ったり(消しゴムをかけるなど)しなくてもこんなにきれいになるのか!と感動です。

紙や描画剤の種類、作品の状態、損傷によって、水洗できない作品もあります。
しっかり慎重に作品を調査した上で、水洗処置に臨みましょう!