先週はPDコース4年生の卒制の最終講評会でした。
半年間取り組んできた卒制もとうとう締めくくり。
多くの学生は4月から研究を始めているので、
実際には1年間の長い取り組みでした。
PDコースの卒制では、
2〜3年の課題同様「ヒト・モノ・コト」の関係を考えて
有形無形の提案にします。
その表現スタイルはほんと様々。
今日はそんな様々な卒制を少し紹介しますね。
■季節を感じる革製の照明
この提案は、趣味でもある「革細工」を発展させた照明器具
でもあるアクセサリーホルダーです。
木の枝をモチーフに、季節毎に「葉」や「花」が変えられ、
室内でも季節を感じられる提案です。
1年間通じた研究活動と卒制活動によって「趣味」の域を
超えた成果となりました。ステキです!
■「蓮・はす」モチーフの食器群
この学生は、2年の頃から「命の大切さ」を意識した制作を
続けていました。卒制ではその「命の大切さ」を毎日の食卓
の場で表現しようと試みました。「蓮」は泥の中から大きく
美しい花を咲かせ、枯れて行く姿を私たちに見せてくれます。
「いのちのいとなみ」を感じさせてくれるモチーフですね。
重たいテーマを、軽やかにそして美しく表現できたのでは
ないでしょうか?
■荒野を駆けるモビリティ
この提案は、道の無いどんな所も走れるモビリティです。
4月の研究では「普段の通勤路が楽しくなる為の」という
テーマでしたが、半年かけて自分が伝えたいメッセージを
突き詰めて、「既定路線」や「固定概念」に囚われない
自由なモビリティとしてまとめました。
■「運転を楽しむ」事に特化したモビリティ
この提案は、利便性や家族に向けた進化続ける自動車の開発
傾向に対して、純粋に運転を楽しむ車があるべきではないか?
と言う思いをカタチにしました。購入し易く維持し易い事を
考慮して1人乗りの超小型としています。
制作途中の各段階で様々なアクシデントがあり、諦めざるを
得ない部分もありましたが、最終的に自分の理想と言える
スタイリングができた様ですね!
■「聴覚」を刺激する体験の提案
この提案は、視覚を奪った状態で様々な「音」を聴く事で
どんな感覚になるのか?を体感してもらう装置です。
プロダクトデザインなの?、、、と、ちょっと疑問に思う
かもしれませんが、プロダクトデザインコースの本質的
テーマ「ヒト・モノ・コト」の関係を見つめ直すまたは
新たな発見をする事に強く関係していますので、全く問題
ありません!むしろ良い!!と言えます。
■送り手のメッセージが浮き出るスマートウォッチ
この提案は、親から子へ送る想定で、人生の岐路を迎える
タイミングで送り手(親)のメッセージが時計本体リアル
に浮かびあがる提案です。多くの事がデジタルやアプリで
解決できる時代に、この様にリアルな表現の持つ意味って
大きいと感じます。良い視点だと思います。
■男性のメイクアップブース
この提案は、最近増えてきた男性の「メイク」をテーマに
しています。徐々に市民権を得てきた「男性のメイク」で
すが、メイクしたい欲求と他人の否定的視線を気にして、
メイクに躊躇する男性は多いはず。自宅で家族の視線を
気にせず「全身のみだしなみ」が出来る事の重要性を感じ
て、この様なブースのスタイルとなりました。
このような現代的な問題に向き合って、全く新しいモノの
在り方を創出し表現する事は、プロダクトデザインの大きな
役割と言えるでしょう。
思い通りに進められた学生。
思い通りに進められなかた学生。
納得の行く成果。
後悔が残る成果。
人それぞれ事情は異なりますが、1年間一つのテーマに
没頭して試行錯誤繰り返し、ここまで辿り着いた事に
大きな意味がありますよ!
社会に出るとこんな風に自分自身で設定したテーマに
向き合える時間も機会もほぼ無くなるものです。
成功か失敗かに関係なく、この卒制での取り組みは、
それぞれの学生にとって変えがたい経験になるはずです。
(教員の私にとってもそうでした)
2月4日〜2月7日まで開催される卒業制作展では、
今回紹介した提案以外にも多数展示する予定です。
他のコースの展示もありますので、
是非会場にお越し戴いてじっくりご覧ください!
https://www.yokohama-art.ac.jp/lifestyle/graduation_works/