【修復保存 3年】赤外線撮影

修復保存コースでは、修復技術や保存・保管方法を学ぶだけではなく、
作品撮影の方法も学びます。

修復保存コース3年生は、皆で設営した写真撮影ブースを活用し、赤外線撮影にチャレンジしました。

通常の撮影では、可視光線を捉えて撮影しています。
赤外線撮影は、可視光線ではなく、主に赤外線という光線で撮影します。

目には見えない赤外線ですが、その性質によって、透過撮影を行うことができます。
X線撮影のようにまるっと透けて見えるわけではありませんが、赤外線が届くほんの少しの範囲を透かすことができるんです!

そんな赤外線撮影は作品の調査で用いられることがあります。
例えば画面の下の隠れた下描きや、塗りつぶされた絵などを見ることができます。
もちろん全てが透けて見えるわけではなく、描画材や厚みによっては何も見えないこともあります。

 


今回は、一眼レフカメラに「赤外フィルター」を装着し、撮影しました。
このフィルターによって、ほとんどの可視光線はカットされ、赤外線だけが透過します。
その結果、カメラのセンサーには赤外線だけが記録されるというわけです。

 



油彩で作ったサンプルを並べて、撮影します。

 


これは通常撮影。
やや厚塗りの絵肌がよくわかります。

 


そしてこちらが赤外線撮影…。
何か見えるかしら。

 


見える!何か見えます!!

 


上段左には逆さのうさぎ天使(?)が、上段右にはLOVEの文字が見えます。

 


下段中央にはイルカがいますね。
通常撮影では全く見えていなかったのに!


実はこれらの油彩サンプルには、木炭でモチーフが描かれていたのです。
このようにイルカと文字が描かれていました。

 


木炭で描いた後に上から油彩で塗りました。
透けますように…!と願いを込めて。

下段右、中段中などのサンプルは透過せず。
色や絵具の厚みによって、透過具合が異なるようです。
不思議ですね〜。


通常では見えない、塗りつぶされた何かが見えるかもしれない赤外線撮影でした!